こんにちは 藤です
今回は私の好きな日本の3ピースメタルバンド「人間椅子」を、普段HR/HMを聴かない現代っ子たちに広めたいという内容を書いていきます。
私は人間椅子をつい最近好きになり、5月からちゃんと聴き始めたのにもかかわらず再生時間は10000分を超え、ほぼすべての曲を聴きました それほどの魔力があります
しかしこのバンドの曲は全体的に長く、なかには再生時間が9分を超えるものもあります(2曲だけですが) 7~8分の曲はもっと多いし、普通の曲も5分と長めです
開始15秒以内に歌い始めないと視聴者が逃げてしまうと言われているこの疾風怒濤の時代に生きる人々には慣れない形式でしょう
ですがその長さゆえに敬遠してしまうのはもったいないと思うのです 京極堂シリーズも分厚くて避けられがちですが内容は超面白いんです それと同じです
そこで今回は、人間椅子の曲の中から初心者にオススメできる曲をいくつかピックアップして紹介したいと思います 前置きが長くなってしまいましたが本題に入ります
・鏡地獄
(↑見慣れないサイトかもしれませんが怪しいリンクではありません リンク先から各配信サービスへジャンプできます)
しょっぱなから変なジャケットとタイトルですが、これは最も入門に適した曲のひとつだと思います(←機械翻訳みたいになった)
曲の長さは6:20となかなかのボリュームですが、最近(2019年)出たアルバムというのもあり今の人間椅子のスタイルを汲むことができます
実際この曲をきっかけに身内がふたり人間椅子にハマっていました それが何よりの根拠でしょう
また、人間椅子の魅力である
・重厚な音
・必ずと言っていいほど挿入されている神ギターソロ
・文学作品のような世界観/歌詞
・暗くおどろおどろしいモチーフ
が全部入っています 0秒から開始されるイカついギターソロから人間椅子へ足を踏み入れてみてください
ついでに言うとこの曲の元ネタである江戸川乱歩「鏡地獄」も面白いので同時におすすめです 短編なのですぐ読めます
・もっと光を!
これはベスト版を除くと人間椅子4枚目のアルバムで(多分)、彼らの方向性がすでに完成されています 芯の部分はいい意味で今と変わりません 長さは3:49とハードルが低い点もおすすめです
ギターソロはもちろん入っており、終盤の盛り上がりはファンでなくとも頭を振ってしまうでしょう
先述の鏡地獄とは違い、この曲はベース/ボーカルの鈴木研一(白塗りの人)が歌っています いかめしい声が人間椅子のヘヴィなサウンドにマッチしていて聴き心地がいいです
もしこの曲が気に入れば、アルバム「羅生門」を通して聴いてみることをおすすめします 9曲で42分と人間椅子の中ではコンパクトなアルバムであり、ユーモラスなテイストの「青森ロック大臣」、不気味さ全振りの「ナニャドラ」、勝負曲はいつも最後に持ってくる「羅生門」など、アルバムを通して人間椅子のスタイルを知ることができると思います。
特に「青森ロック大臣」は開始直後に「朝のニュースで報じる 日本の首都青森」とメチャクチャ言っています 人間椅子はこういう間の抜けたような歌詞を書くこともあり、そこが彼らの魅力でもあります(ちなみにこの曲のベースが超かっこいいです)
・無情のスキャット
この「無情のスキャット」は人間椅子の代名詞的楽曲といっても過言ではないでしょう MVはなんと1400万回以上も再生されています(!?)
これまでの楽曲と比較してもかなりの長さで、なんと8分22秒もあります 休憩時間に聴けません
しかしそのぶん間に挿入されるギターソロは屈指のクオリティで、私は聴いている途中に感極まって泣きそうになったことがあります いつ通報されるかわかりません
この曲の歌詞は語り手のみじめさを歌った内容なのですが、この通りめちゃくちゃ評価されていることを踏まえると非常に感慨深いです
私は人間椅子を知ったのがこの曲で、初めて聴いたときはなんだこの長ったらしくて暗い曲は!と思ったものの、そうは言いつつイントロやソロのギターの音色が忘れられず、いつの間にか毎日聴くようになっていました。怖いもの見たさであえて長尺曲から入るのも悪くないでしょう
・陰獣
人間椅子の代名詞的楽曲といえば陰獣も外せません
人気のきっかけとなった「三宅裕司のいかすバンド天国」という番組に出演した際に演奏した曲で、当時の鈴木研一は灰色のシーツをかぶったねずみ男のような恰好をしていました(Youtubeに当時の動画がありますが、緊張しているのかテンポがちょっと速いし音階もベストアルバム収録のそれよりやや高いので、個人的には普通にアルバムで聴いた方がいいと思います)
この曲は3:47と聴きやすく、開始0秒でいつもの不気味なギターが流れるという点からも初心者におすすめです
内容はこれまで紹介したなかでもかなりの不気味さで、不気味曲担当の鈴木研一が生き生きとしています 「堕胎の狂女がアッパッパ」という歌詞はほかではお目にかかれないでしょう
曲の後半では和嶋もボーカルで参加しており、4分弱で鈴木と和嶋の二人の声色を楽しめるお得な構成となっています
また、収録されているのがベストアルバムなのでほかの収録曲も間違いないでしょう。私が基本ベストアルバムを聴かない人間なので失念していましたが、人間椅子はアルバムの量がアベンジャーズくらい多いのでベストアルバムを聴くのが最善かもしれません
SingleやEPを全然出さない人間椅子でも、書き下ろし曲のSingleは配信されています
この曲はタイトルからも分るように三島由紀夫の作品からとったものです。というのも、これはまさに連続ドラマ「命売ります」の主題歌だからです
人間椅子は元ネタの作品をそのまま歌うのではなく、彼らのフィルターを通した作品の解釈のようなテイストを醸しつつ、彼らの曲として確立させることを得意としており、この曲はまさにその代表例といっていいでしょう。*1
主題歌というのもあって特に聴きやすい作品になっていると思います
・宇宙電撃隊
最後に最新のアルバム「色即是空」から一曲紹介します
還暦近いおじさん3人が「ファンファンファファン」と連呼する奇妙な内容ですが、相変わらずギターのメロディが癖になります
人間椅子のすごさは、ああ次ギターソロだろうな、というように展開の予想ができるのにも関わらず、そのメロディが毎回全然違うので一向に飽きないというところにあると思います(ベースの鈴木研一はリフ(繰り返し演奏されるフレーズ)を600個考えることもあるらしいです)*2
そしてこの曲で聴いてほしいのは和嶋のボーカルです 仙人のような見た目からは想像できない野太く力強い声がこの曲の一番の魅力だと思います 私はギターと和嶋のボーカルの両方目的でずっとリピートしています
「色即是空」はベストアルバムかというくらい神曲が揃っているので特におすすめです 「さらば世界」はイントロから最高だし、「神々の決戦」は全員ボーカルで参加していて激熱、「死出の旅路の物語」は人間椅子終わるのか?ってくらいの全力を感じることができます
おそらく人間椅子はいま神曲しか書けない覚醒状態なので、最新のアルバムから入ってそのパワーを浴びるのもいいでしょう
ここまで6曲紹介しましたが、もしなにかひとつでも気に入ったものがあればあとは自由にアルバムを聴いていくのが一番楽しめるのではないかと思います
また、念のため言っておくと、人間椅子の曲はある程度慣れないとあまり良さが分からない曲がそこそこあります。逆に言えばある程度慣れてきたときに以前よくわからなかった曲を聴くと「目覚める」時があります。それを経験すればもう怖いものはないでしょう。人間椅子にとどまらずHR/HMをもっと聴きたくて仕方がなくなります
こんな散らかった文章で魅力が伝わっているかはわかりませんが、すこしでも人間椅子に興味を持ってくれたら嬉しいです
それでは